マネキン本体の素材であるFRPについて解説します。

ガラス繊維+ポリエステル樹脂=FRP

FRPとは強化プラスチックのことで、特にガラス繊維とポリエステル樹脂の複合素材を指します。
20世紀中半に広まった素材です。
マネキン以外にはサーフボードや車のバンパーやテーマパークの造作物などで使われています。
素材の特徴としては、複合による強度アップにより、軽くて丈夫なことが挙げられます。
手作業で成形ができるので大規模な設備は必要ありません。
また、金型ではない生産型で量産が可能なため、小ロットでの量産が可能です。
生産型としては、FRP型(FRPの型でFRPを量産する)やシリコン型、石膏型などが挙げられます。
マネキンの素材としては軽く、丈夫で、小ロット量産が可能であるということから、うってつけの素材であるといえます。
ただ人の手による量産なので、生産コストの中で人件費の割合が高くなるという問題もありますが。
そのため、日本のマネキン会社では人件費の安い海外に生産拠点を持っているかどうかで大きく製品代が変わってきます。

FRPの成型方法

具体的なマネキン生産におけるFRP成形の方法です。
まず生産型に離型材を塗り込みます。
増粘材によってゲル状になったポリエステル樹脂を塗布します。
塗布したポリエステル樹脂の上に、マット状になったガラス繊維を敷き詰めます。
液状のポリエステル樹脂を敷き詰めたガラス繊維に含浸させます。
硬化後に脱型します。
バリや表面の細かい穴(ピンホール)を仕上げて成形完了となります。

その他の素材

ちなみにマネキンの手だけは落下しやすく複雑な形状でもあることからPVC(塩化ビニール)を素材としています。
PVCは金型成形ですので、手については既成型を使ってコストを下げることが多いです。
以上のようにマネキンについては手作業によるFRPが基本です。
トルソについてはブロー成形によるPP樹脂、ABS樹脂、スチロールなどが基本です。
ブロー成形は高価な金型が必要となります。
そのため、トルソは既製品から適したものを選ぶことが普通です。
対してマネキンはFRPを素材としていることで、50体以下の小ロットでもオリジナル開発が可能なのです。