今回のコラムでは、新法がアパレルやクリーニング業界に与える影響と、コパックが取り組んでいる脱プラの取り組みを2回に渡って掲載いたします。

 

「プラスチック資源循環促進法」の概要

出典:環境省

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/plastic_junkan_wg/pdf/009_02_00.pdf

 

「プラスチック資源循環促進法」の30年前に始めたコパックのリユース・リサイクル事業

リユース・リサイクル事業を始めたのは、コパックの会長が30年前に夢の島を訪れた際、大量に廃棄されているハンガーを目撃し大変なショックを受けたことがきっかけです。

そこから始まったハンガーのリユース・リサイクル事業は、ビジネスのためではなく環境のための取り組みとして様々なアパレル様の共感とご協力のもと続けられています。

コラム:ハンガーで始めた環境貢献

ハンガーリユース・リサイクルの取り組みについては第2回のコラムでご紹介いたします。

第1回は新法の内容とコパックが開発したプラスチック削減のためのプラスチック代替材料を活用したハンガーのご紹介です。

 

「プラスチック資源循環促進法」がアパレルやクリーニング業界に与える影響

レジ袋の材料であるプラスチックが環境悪化を引き起こしていると考えられたため、2020年7月からプラスチック製買い物袋が有料化(一部対象外)されました。

しかし、レジ袋有料化は序章にすぎません。今年6月にはプラスチックごみの削減とリサイクルの促進を目的とする「プラスチック資源循環促進法」が成立し、22年4月に施行される予定です。

 

  1. ハンガー・衣類用のカバーが新法の対象品目に

「プラスチック資源循環促進法」にはワンウェイプラスチックの削減として、12品目が新法の対象製品に指定されました。

 

① 特定プラスチック使用製品【政令】
商品の販売又は役務の提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品のうち、

提供量が多く使用の合理化の取組によってプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制が見こまれる観点、

過剰な使用の削減を促すべき観点、代替素材への転換を促す観点等から、以下を指定する。

・主としてプラスチック製のフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、櫛、剃刀、シャワー用のキャップ、歯刷子、ハンガー、衣類用のカバー

出典:経済産業省

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/plastic_junkan_wg/pdf/010_01_00.pdf

12品目の中には、“ハンガー”“衣類用のカバー”が含まれています。

 

② 特定プラスチック使用製品提供事業者の業種【政令】
特定プラスチック使用製品の提供量が多く、使用の合理化を行うことが特に必要な業種として、以下を指定する。
(主たる事業が下記の業種に該当しなくても、事業活動の一部で下記の業種に属する事業を行っている場合には、
その事業の範囲で対象となる。)
・各種商品小売業、各種食料品小売業、その他の飲食料品小売業、無店舗小売業、宿泊業、飲食店、持ち
帰り・配達飲食サービス業、洗濯業

出典:経済産業省

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/plastic_junkan_wg/pdf/010_01_00.pdf

新法の対象業者としては、“小売業”“洗濯業”が名指しされており、“ハンガー”“衣類用のカバー”の排出の抑制が義務付けられます。

(ただし、対象企業は21年度において提供したプラスチック製品が5トン以上)

また、取り組みが不十分と判断されると罰則として社名の公表がされるため、アパレル様やクリーニング店様のご担当者様の中には、

来年4月までの対応を悩んでいる方も多いかと思います。

 

2.新法への対応の方法とは

 

出典:環境省

http://www.env.go.jp/recycle/recycle/pdf/gaiyou2.pdf

 

プラスチック製品の軽量化やプラスチックの代替材料を活用

『プラスチック製品の設計を環境配慮型に転換』とはすなわち、プラスチックの使用をできるだけ削減しなさいということです。

プラスチック製品の設計を見直してプラスチック製品を薄肉化することや、リサイクル促進のめにプラスチック製品を解体しやすい設計にすること、プラスチック代替材料を使用することが対策としてあげられます。

近年ではバイオマス材料・紙素材・石灰石など、石油系樹脂の削減のために様々な代替材料が開発されています。

使い捨てプラをリデュース

新法では、使い捨てプラのリデュース方法として以下の工夫が提案されています。

□プラ製品の使用について消費者の意思を確認することや有償で提供すること

□消費者がプラ製品を使用しないようにポイント還元等で誘引する手段を取ること

□消費者にプラ製品の繰り返しの使用を促すこと

※特定プラ製品の有料化の義務化は規定されていないようです。

 

資源循環(リユース・リサイクル)

新法では、以下の目標が定められています。

□2035年までにプラスチック製容器包装及び製品のデザインをリユース又はリサイクル可能なデザインに

□2030年までにプラスチック製容器包装の6割をリユース又はリサイクル

□2035年までに使用済プラスチックを100%リユース、リサイクル等により有効利用

 

日本コパックが開発したプラスチック代替ハンガー・化成品

 

紙成分を51%配合した紙ハンガー

生分解性素材のPLA(ポリ乳酸)を100%使用したハンガー

 

プラスチックの代替素材として、バイオマス素材・生分解性素材・セルロースが部分的に配合されたハンガーは存在します。

それらは基本的に耐熱性が低いためPPに混ぜて成型することが一般的ですが、耐熱性の高いPLAを開発した材料メーカーさんとの取り組みの中で、PLA100%のハンガーができました。

 

生分解性素材のPLA(ポリ乳酸)を50%使用したハンガー ※PLA50% + PP50%

ウッドチップを51%配合した木材ハンガー

ライメックス(石灰石)を40%配合したハンガー

 

グリーンPE(サトウキビ)配合の化成品

 

バイオマスと生分解性素材の特徴を理解しよう

新法に対応するということだけにとらわれると、環境問題へ貢献するという目的を見失いかねません。

代替素材の特徴を理解した上で、新法への対応を検討する必要があります。

まず、プラスチック代替素材を使用することはプラスチックの使用量削減につながります。

しかし、バイオマス素材と生分解性素材はプラスチックの使用量を削減するという意味では同じように扱われることが多いですが、目的が実際には異なります。

バイオマス素材は植物由来の素材で、CO₂を削減することで地球温暖化問題の解決に貢献することができます。

一方、生分解性プラスチックは自然に還るプラスチックのことで、海洋プラスチックごみ問題などの解決に貢献できます。

 

新法のことだけを考えて本当の目的を忘れずに、それぞれの素材の特徴を正しく理解して、環境問題の解決に貢献していきましょう。

 

商品のお問い合わせやご質問などあれば、お気軽にご相談下さい。

日本コパック株式会社
担当:斉藤(崇)、抱井
standard@copack.co.jp